A.SELMER　Mk VI　Alto Sax　Serial No：55XXX　【Vintage】

A.SELMER（アメリカン・セルマー）
マークシックス　アルトサックス　シリアルNo：55XXX　【ヴィンテージ】

アメセル Mk6最初期のヴィンテージアルトサックスです。シリアルから1954年頃のものと思われ、ネックのSELMERロゴが従来のデザインとは異なりその独特なデザインから通称ダブルSと呼ばれているMkVIの中でも特に希少な個体です。一般的にはDouble Sネックと呼ばれていますがネックの文字を見てみると「S」が２つ重なっているというよりかは「S」と「C」の組み合わせのように見えることからSelmer & Cieの頭文字をモチーフにしたものという説もあります。

Gキーのシャフトに修理跡などはありますがネックやベルなどにも目立った修理歴やダメージは見受けられず、使用に伴うスリ傷や多少のラッカー剥がれはあるものの年代を考えれば全体的に状態も良いサックスと言えます。オリジナルラッカーも十分に残っており、中期や後期のMkVIとも一味違うこの年代ならではの非常に深みのある飴色をしています。また、ベル彫刻も従来のMkVIとは異なりU字管まで細やか且つ豪華に彫刻されており美しい仕上がりです。

また、仕様が特別なだけでなく個体としても優れたサックスでダークで柔らかく艶やかさのあるMkVIサウンドがたっぷりとご堪能いただけます。柔らかさのある音の中にも音の芯を感じることができ、それでいて音が重過ぎずかといって軽過ぎず絶妙なバランスを持っており甘く艶のあるジャズサウンドは実に素晴らしいものがあります。低音域から高音域までスムーズに鳴らすことができ、軽く吹けるのにも関わらず音の中心には芯があり適度な音の太さと雰囲気を持った音色はジャズプレイヤーにはため息ものだと思います。ジャズのスタンダードナンバーを吹けばその時代の景色を体感できる音色だと思います。

こちらは委託品ですが前オーナー様が大事に使われておりサックス自体の状態も良く、タンポも比較的新しく良好な状態ですので当面の間は交換する必要はないと思います。MkVI初期で状態の良いものは今や探してもそう簡単には見つからず非常に希少で、かつ最初期のDouble S仕様を持った個体でここまでのものは日本はもとより海外を含めても極めて稀なサックスと言えるでしょう。Double S仕様はシリアルが5万5千番台あたりから5万6千番台頃までの物にしかないと言われており、SELMERのシリアルナンバーはソプラノからバリトンまでが通し番号ということを考えればこの個体がいかに希少で貴重なサックスであるかがお分かりいただけると思います。

これから吹き込んでいくことでまだまだ音も育ってくる楽しみもあり、MkVIの中でも極めて希少な仕様というだけでなく個体としても優れたサウンドクオリティを持っており、希少性、上質な音色、良好なコンディションと三拍子揃ったMkVIです。弊社会長もお薦めの極上のヴィンテージサウンドを持った逸品です。


■委託品　

■オリジナルラッカー
■Double S neck仕様
■マッチングネック
■反射板：プラスチックブースター
■全体調整済み
■付属品：SELMER製オリジナルハードケース

【SELMER Mk6について】
今もなお世界中のジャズプレイヤーが愛用し続けているセルマーの名器とも言えるマーク６。MkVI は1954年頃から1973年頃までの約20年あまり生産されたサックスで、シリアルは5万番代後半から24万番代前半までとなっております。Mk6は反応・操作性の良いオクターブメカニズム、連動式テーブルキーの採用や、S.B.A(スーパーバランスアクション)から採用されたキーのオフセット配列をよりフィンガリングの操作性を向上するために角度を変更するなど、様々な改良を加えられました。現代のサックスの模範とも言えるMkVIの誕生によってセルマーはサックスマーケットでの地位を確立したと言っても過言ではありません。

Mk6にはフランスセルマー(フラセル)とアメリカンセルマー(アメセル)があり、それぞれに違いを持っています。ジャズマーケットを意識して生産されたアメセルはクラシックマーケットを意識して生産されたフラセルと比べるとラッカー塗装が薄く、その分管体の振動効率を損なわないため音の抜け、鳴りがよくなっています。また、アメセルは楽器を組み上げてタンポもつけた状態でラッカー塗装をしたため、オリジナルタンポにはラッカーがかかっているのも特徴のひとつです。ほかにもフラセルとアメセルとでは彫刻模様や調整など様々な違いがあります。