A.SELMER Super Balanced Action Alto Sax Serial No:36XXX 【Vintage】
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A.SELMER(アメリカン・セルマー) スーパー・バランスド・アクション アルトサックス シリアルNo:36XXX 【ヴィンテージ】 アメセル スーパーバランスアクションのヴィンテージアルトサックスです。シリアルナンバーから1948年〜1949年頃のものと思われます。使用による擦り傷やラッカーの剥がれなどは多少ありますがネックやベルフレアなどの修理歴はなく年代を考えれば比較的良好な状態のSBAです。
ベル彫刻も当時の職人の技が光る細部まで美しい仕上がりです。なお、彫刻の溝部分などに広い範囲で白いコーティングのようなものが見えます。ラッカーが白濁したというよりかは別のもので覆われているような状態で、地金が露出していませんので逆に言えば錆は出にくいと思います。
オリジナルラッカーもほとんどが残っており深みのある色合いがヴィンテージの風格を醸し出しています。なお、オリジナルラッカーにはある程度の範囲にラッカーのクラックが入っていますので詳細は写真でご確認ください。タンポの状態は比較的良好ですので当面の間は交換の必要はないと思います。キータッチも軽めに調整されておりスムーズなフィンガリングが可能で、SBAならではの柔らかく落ち着きのあるふくよかなヴィンテージサウンドを楽しむことができます。まだまだこれから鳴ってくる個体だと思いますのでじっくりと吹き込んで行ける楽しみを持ったSBAです。個体としては広がりのあるサウンドというよりもまとまりのある柔らかで丸みのある音色を持ったサックスで音に奥行感があります。
音色が重すぎず軽すぎずバランスの取れた明暗を持ち、柔らかくも軽やかに鳴らすことが出来ますのでウエストコーストサウンドを楽しむのにも抜群のサックスです。S.B.A.は生産数も少ないモデルのためテナーに限らずアルトも入手が難しくなってきていますのでお探しの方は是非ご検討ください。MarkVIとはまた違った古き良き時代のセルマーサウンドがご堪能いただける逸品です。
修理歴や現状については下記をご確認ください。
・針バネがすべてステンレスバネに交換されています ・Low E♭キーのカップがリラッカーの可能性あり ・ベル彫刻や一部の溝に白いコーティングのようなものあり ・ラッカーにクラック(ウェザーチェック)有り ・サイドF#の指貝に一部若干の欠け有り ・小ヘコミあり(サムフック左下、ストラップリング左上) ・LowCキーガード台座のヘコミ修理及びハンダ修理有り ・右手主鍵キーガード※が交換されています(銀メッキ仕上げ) ※BA後期或いは移行時期のSBA最初期の物の可能性あり
■委託品 ■オリジナルラッカー ■マッチングネック(ネックと同一のシリアルナンバーが刻印されています) ■タンポ反射板:プラスチックブースター(High D、E、Eb、Fキーのみメタルブースター) ■調整済み ■付属品:PROTEC PB-304CT アルトサックス用セミハードケース 【ブラック】 【新品】
【SELMER Super Balanced Action(通称S.B.A)について】 現在でもジャズプレイヤーに絶大な人気を誇るSuper Balanced Action(スーパー・バランス・アクション)は、テナーサックスではベン・ウェブスター氏やコールマン・ホーキンス氏、アルトサックスではポール・デスモンド氏などが愛用していたことで有名なBalanced Action(バランスアクション)の次のモデルとして発売された機種です。Super Balanced Action(以下省略してS.B.A)は1947年から1953年頃までの6年程度しか生産がされていない希少なモデルです。前モデルのBalanced Actionの主管キー配列がインラインに対し、S.B.Aからは主管のキー配列にオフセットが採用されました。オフセットが採用されたことにより、自然に左右の手を構えられるようになり、スムーズなフィンガリングが可能で操作性も向上しました。S.B.Aはテナーサックスでジョン・コルトレーン氏が愛用していたことでも有名で、その独特のやわらかで艶やかな音色は同じセルマーのMkVIやMkVIIとはまた違った魅力を持っているサックスです。S.B.Aの前期の彫刻は豪華で美しい彫刻の物が多く、テナーでは低音キーのキーガードはセパレートタイプになっています。S.B.Aの後期になってくるとMkVIの前期と同じような彫刻になり、低音キーのキーガードもセパレートタイプではなく、MkVIと同じような一体型のタイプになっています。ちなみに、一般的にアメセル(アメリカンセルマー)と呼ばれるモデルはこのS.B.Aから始まったと言われています。
S.B.AにもMkVI同様にフランスセルマー(フラセル)とアメリカンセルマー(アメセル)があり、それぞれに違いを持っています。ジャズマーケットを意識して生産されたアメセルはクラシックマーケットを意識して生産されたフラセルと比べるとラッカー塗装が薄く、その分管体の振動効率を損なわないため音の抜け、鳴りがよくなっています。また、アメセルは楽器を組み上げてタンポもつけた状態でラッカー塗装をしたため、オリジナルタンポにはラッカーがかかっているのも特徴のひとつです。ほかにもフラセルとアメセルとでは彫刻模様や調整など様々な違いがあります。
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